近年、国内でも多くの大学でスマホ学生証の導入が進んでいます。その中でも現在主流となっているのが、スマートフォンに表示した可変QRコードを用いて本人確認を行う方式です。導入コストが低く、既存システムとの連携も比較的容易なことから、多くの大学がまずQRコード方式を採用しています。
しかし、世界的な流れを見ると、スマホ学生証はQRコードからNFC(近距離無線通信)を活用したWallet型へと進化しつつあります。北米ではApple WalletやGoogle Walletに学生証を登録し、入館、図書館利用、食堂決済、イベント参加などをスマートフォンやスマートウォッチだけで行う事例が増えています。
なぜ、日本の大学ではスマホ学生証でQRコードが普及しているのでしょうか。
QRコード方式の最大のメリットは、導入のしやすさです。専用のNFCリーダーや大規模な設備更新を必要とせず、既存のスマホアプリとサーバーを活用することで短期間に運用を開始できます。さらに、QRコードを数秒ごとに更新する「可変QRコード」を採用すれば、スクリーンショットの使い回しや単純な偽造への対策も可能です。
一方で、可変QRコードには構造上の課題があります。認証のたびにサーバーとの通信が必要となるため、ネットワーク障害や認証基盤の停止が運用に直接影響します。また、学生はアプリを起動してQRコードを表示する必要があり、毎日利用する学生証としては操作負荷が残ります。
これに対し、NFC+Wallet方式では認証情報を端末内に安全に格納し、スマートフォンをかざすだけで認証が可能です。Apple WalletやGoogle Walletは高度なセキュリティ基盤を備えており、本人性の担保や不正利用対策の面でも優位性があります。また、オフライン環境でも動作可能なケースが多く、利用者体験は交通系ICカードに近いものとなります。
今後のデジタル学生証の流れ
導入コストの観点でも、従来ほど高いハードルではなくなりつつあります。既に多くの大学ではIC学生証や入退館システム、プリンタの認証印刷(オンデマンド印刷)が導入されており、対応するリーダーを活用できる場合があります。欧州ではEuropean Student Card構想のもと、学生資格をデジタルクレデンシャルとして活用する取り組みも進められており、国際的にはWalletを中心としたデジタルID基盤への移行が加速しています。
今後の大学DXにおいて重要なのは、「スマホ学生証を導入すること」と共に「どの認証基盤を選択するか」が重要になってきます。短期的にはQRコード方式が主流であり続けると考えられますが、中長期的には利便性、セキュリティ、運用効率の観点から、NFC+Wallet方式が主流となる可能性が高いでしょう。将来的には、学生証は単なる身分証ではなく、キャンパスライフ全体を支えるデジタルIDとして、Wallet上で管理される時代が到来すると考えられます。
COSYで取り扱っているElatec社、RFIDears社、HID社のカードリーダはスマホのWallet機能と連携して動作するように設計されています。
カードリーダをこれらのメーカーの製品にするだけで、プリンタ、複合機にNFC認証を搭載することが可能です。
応用事例としては、航空機への搭乗ゲートでスマホアプリ起動し、QRコードを表示させ、ゲートを通過というのではなく、搭乗券がWalletに登録されているのなら、アプリなど開かなくても、スマホをタッチするだけでゲートが開くというような使い方が考えられます。